前科とは?

前科とは?

刑事事件のご相談をいただく際、「前科がついてしまうのだろうか。」、「前科がつかないようにしたい。」というお悩みをお聞きすることがあります。

「前科」と聞いて、どういったものをイメージされるでしょうか?

一般には、過去に犯罪を犯したという履歴のようなものをイメージされる方が多いのではないかと思います。

実は、「前科」という言葉は法律上の用語でないため、法律上の定義はありません。先にお話しした一般的なイメージとは別に、社会的に使用される「前科」には、大きく分けて2つの意味があります。

(1)犯罪人名簿への記載

犯罪を犯し、一定の刑に処せられると、各市町村(東京都特別区の場合は区)が管理する犯罪人名簿に記載されます。これは、公職選挙法上、過去に一定の刑に処せられた人は、選挙権・被選挙権を有しないとされていることや、刑に処せられたことを欠格事由としている職業があることなどに対応したものであると言われています。

この意味での前科は、刑の言渡しの効力が消滅する(刑法34条2項)のに合わせて、なくなります(犯罪人名簿の記載も削除されます。)。

なお、犯罪人名簿は、一般に公開されているものではなく、その閲覧は厳しく制限されています。

(2)過去に有罪判決を受けた事実そのもの

多くの方の持たれる「前科」のイメージとしては、こちらに近いかもしれません。

この意味での「前科」は、実刑判決、執行猶予付判決、罰金、科料等を問わず、有罪判決を受けた事実を指し、(1)と異なり、法律上刑の言渡しの効力が消滅した場合であっても、なくなることはありません。

検察庁では、このような前科を犯罪履歴として管理しており、前科調書を作成・保管しています。

この場合の「前科」は、有罪判決を受けたという歴史的な事実であり、前科調書は、本人の死亡まで保存されることになっています(犯歴事務規程(法務省訓令))。

なお、この前科の照会は、検察官・検察事務官に限られます。

前科がつかないようにしたい

いずれにせよ、前科がつかないにこしたことはありません。

日本の刑事裁判は、99.9%という極めて高い有罪率を誇ると言われています。そのため、起訴されたほとんどのケースでは、前科がつくということになります。

もっとも、逮捕された人の99.9%が有罪になるというわけではありません。この有罪率は、あくまでも起訴された場合に有罪になる割合です。

逮捕された人の半数前後は起訴されずに終了しています。この場合、有罪判決を受けていないので、前科とはなりません(前歴にはなります。)。

したがって、前科がつかないようにするためには、逮捕された後、起訴されないように活動することが必要です。

不起訴処分を求めて

不起訴処分を獲得するためには、逮捕直後からの積極的な弁護活動が肝要です。

検察官に、起訴の必要のないことを説明するほか、被害者がいる事案であれば、謝罪の意思を示し、示談を行うことが重要になります。

すべてのケースで不起訴処分を獲得できるわけではありませんが、DUONでは、被疑者の方に対する適切な処分を獲得できるよう最善を尽くします。

この記事は弁護士が監修しています。

片島 均(弁護士)弁護士法人法律事務所DUON
茨城県弁護士会所属(登録番号:42010)

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代表を務める弁護士法人法律事務所DUON はほぼ全ての分野の法律問題をお取り扱いしています。全体の案件数としては、地域柄もあり「離婚事件」や「交通事故事件」「破産事件」「相続問題」等のお取り扱いが多いですが、法人・事業者様の労使問題等にも力を入れており、特に地元の中小企業の経営者様を中心にご相談いただいております。

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